最高裁判所第一小法廷 昭和37(オ)1287 判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人および上告代理人宮浦要の上告理由は、要するに、原判決には経験則違背、
理由不備、理由そごの違法があるという。
しかし原判決(第一審判決理由を引用)は、被上告人が上告人の妻が連れていた
上告人の飼犬によつて傷害をこうむつたこと、右の飼犬は咬癖をもつていたので、
運動のため戸外に連れ出すに当つては、危害防止のため鎖でつないでその一端を堅
持し、常に注意をそらさず、いつでもこれに十分な支配制御を加えうる万全の姿勢
をとつていなければならないのにかかわらず、上告人は、本件事故当日占有機関た
る上告人の妻が二才の幼児を抱いて飼犬を散歩に連れ出したことに気付かず、しか
も上告人の妻は事故発生時には犬の鎖を引いていなかつたのであるから、上告人の
飼犬の保管上相当の注意をしたものとはいえないことを認定した上で、上告人は動
物の占有者として被上告人に対し精神的損害を賠償する義務がある旨判断している。
原審の右認定は、これに対応する原判決挙示の証拠関係に照らし首肯するに足りる
ものであり、原審の判断の過程において所論のような経験則違背、理由不備、理由
そごの違法はない。所論は、結局において原審が適法に行なつた証拠の取捨判断お
よび事実認定を非難するものであつて、採用することができない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
最高裁判所第一小法廷
裁判長裁判官 横 田 喜 三 郎
裁判官 入 江 俊 郎
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裁判官 下 飯 坂 潤 夫
裁判官 斎 藤 朔 郎
裁判官 長 部 謹 吾
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